2025-02-15

いつもの風景

 車両基地のある、南宮崎駅。

ガラガラと野太いディーゼル音と、構内を行き来する車輪の軋み音が、耳鳴りのように常に響いています。

 

 愛しの宮崎時間も今日で終わり。

これから、空港へと向かいます。

空港行きの列車は、日南線の路盤を共用し、空港近くで分かれます。

わずかなお客さんを乗せたディーゼル列車が、のんびり走っている、おもちゃ鉄道みたいな日南線。

そこを、宮崎の空港列車は、脱兎の如くありえない速さで加速してゆきます。

 

 ですが、電化されているのはあくまでも空港線のみ。

田吉駅で、非電化の日南線は真っ直ぐに直進し、草蒸した彼方へと消えてゆきます。

一方分岐した空港行きは、1分であっという間の、宮崎空港到着です。

 

 電化(近代化)の凄まじいパワー。

旧態然とした日南線は150km先の志布志に、これから2時間半かけて、えっちらおっちら山越えです。

そして、最先端技術の空港行きは、1500km彼方の大都市東京に、200人以上を一気に運びます。

 

 一方は超売れ筋の全国的なアイドル、かたや一方は、殆どお客の来ない雛びた地方芸人。

みたいなものかな、となんとなく思います。

 

 ですが、いつ来てもまだ元気に頑張っている、10年前の佇まいのまま、タイムスリップしたかのような、当たり前の景色。

近代化の恩恵に浴しながらも、忘れたくない風景がここにはある、といつも感じます。