こないだ、深夜帰宅した時のことです。
団地内の周回道路を歩いていると、先の道端になんか黒い物体があるような気がします。
暗いとこでは近頃全く見えないので(最近のメガネはどうなっとるんだ!vol.2)、横を通過しても全くわかりません。
でもなんか人っぽい気がする。
黒いズボンにちょっと明るめのシャツ。か?
かがんでじっくり見たら、何と人が倒れていました!
うわっ!と思いました。
ここは、団地内とはいえ車が走る道です。
もしかして跳ねられたか?と思い、動揺しながらも周りに血痕がないか見てみました。
どうやらそれらしきものはないようです。
でも、やはりひき逃げとかだったらやばいので、でも死体だったら迂闊に触ると、犯人と疑われるかもなんで、対処に迷いました。
取り敢えず声をかけてみました。
『おっちゃん!おっちゃん!大丈夫?』(お年寄りだった)
爺さんはピクリともせず、一切の返答はありません。
なんかやば〜い雰囲気です。
やっぱり跳ねられたかなんかか?と警察に通報しようかと思いましたが、その瞬間、
『ンゴッッ』
と鼻が鳴りました。
顔を近づけてみると
『スー、スー』
実に穏やかな寝息です。
そう、涼しくなってきて、じいさんたら道端で安眠していたようです。
こんなとこで寝んなー!と、思いましたが、いくら声をかけてもスヤスヤ寝入るばかりで、びくともしません。
そう、暗い道端で車通りもあるので、このままだと本当に轢かれてしまいます。
でも起きひんし。
あーもう! と、思いましたが、横のゴミ置場に三角のコーンが目に入りました。
あ、これ使えるかも、と、爺さんの黒いズボン側に、コーンを立てると、一見ちょうどマンホールの工事現場っぽいです。
でも、自分的には作品上イマイチな気がしたので、さらに捨ててあったアイロン台を持って来て、足元に囲むように横に立てました。
完璧!な造形が、出来上がりました!
万一車が来ても、ヘッドライトに浮かび上がる、白いアイロン代に赤い三角ポール。
まずギョッとして、ここは避けるでしょう。
そして、人が倒れているのを目にし、さらにギョッとし、私が作った完璧な防御陣地に思いを馳せ、名もなき若きアーティストの完全なパフォーマンスに感動することでしょう。
爆睡爺さんと、アイロン台と、パイロン。
言ってみれば、「部屋とYシャツと私」みたいなもんでしょうか?
翌日、パイロンとアイロン台はゴミ置場に戻されていました。
道ゆく幾人の人が、感動したかが気になるとこですが、少なくとも清掃の方は気づいてくれたでしょう。
あ、爺さん、目を覚まして先に帰ってたら、気づかんか。
ちくしょう。