こないだ宮崎に帰省した時、山に行きました。
まあ山と言ってもごく一部の土地ですが、そこに先代おじいちゃんが杉を植えていたらしく、オヤジ殿がそこを見せてやるというのです。
実家改装で、自前の杉を使ったらタダだし、ついでに残りを売ったら一儲け出来るので、コレを使わん手はない!ということで、切り出しの事前調査という訳です。
親子二人が、金の亡者となって期待に胸膨らまかし、山の林道を分け入りました。
ですがいくら登れど、ジメジメ、うっそうとした林道がひたすら続くのみで、一向に地図のような敷地に出会いません。
オヤジ殿も、
『でもなにせよ、昔ん話じゃし、あっこからあっこまでが、ウチの山じゃから、て小さい時にじいちゃんに一回連れて行って教えてもらっただけやから、よう覚えちょらんとよね~。』
と、え〜っ、何?今さら〜!?な、ご発言。
すでに道はかなりぬかるんできて、ヘタすると車輪を泥にとられて完全に動けなくなる。
また片側はガードレールがないので、そのまま川に転落の危険、すら出てきました。
はっきりいって、スズキアルトで登る山ではないですね。
富士山ハイキングに、パジャマで登るようなもんです。
それでも一攫千金の魔力とはすごい、危険を充分に解っているはずの大の大人が、一向に引き返そうとしません。
だいたい、区画整理用の地図は、現道の記載が無いから解るわけないんです。
しかも予想以上の奥深い場所で、登記用のゼンリン地図にもそこだけポッカリ記載がなく、いわば見放された区画。
今考えたら、かなりの二束三文な場所なんでしょう。
結局、オヤジ殿の記憶からは、山の表情もすっかり変わっていて、頑張って山奥深くまで分け入った甲斐もなく、【渡辺家代々の山】というものに、巡り会うことが出来ませんでした。
その後、親戚の家に立ち寄り、この壮大な話をしたところ、
『あー、そういえばあったね~。山ね! えっ、あっこから杉を切り出すとですか。
兄さん(オヤジ殿)やめちょきない、そらダシ(杉材の切り出し、運搬、道路整備)でエラい赤字になるが。
杉はですよ、今えらい安いとですよ。』
と言われました。
いやー、すっかり親子で凹みました。
2日で、ことごとく老後の夢が打ち砕かれてしまったわけです。
みじけえ夢だったなー、byナウシカ。
でもじいちゃんの存命の頃に、孫が困らんようにと一生懸命、杉の苗を植えてくれていたわけです。
そう考えたら、この山のどこかに、” じいちゃん達の思い” が残っている杉が、すっかり大きくなっているわけで。
そう考えると、なんだか嬉しいですね。
なんかいい話で終わりそうですが、金に目のくらんだ子孫達の姿勢は、ちょっといただけなかったかも。