ヤフーの天気予報は、1時間おきの雨雲予想をしてくれるので、なかなか頑張ってるなあと思います。
そして、よく裏切られますが。
こないだお仕事で、都心に出た時のこと。
ヤフー雨予想は、都心では深夜ところどころ一時的ににわか雨、ということだったので、それなら充電走行可能、バイクだ、と思ったのが、運の尽きでした。
行きは実に快適。
そして、夕方6時過ぎから、なんとお外は霧雨状態。
何じゃこりゃあ!(by松田優作) ほんと、そんな気分でした。
外も、ナベ心もすっかり暗くなっていき、そして刻々と雨足は、ひどくなる一方です。
そして、ついにお仕事終了。
ビルの閉館時間になりました。
あーあ、濡れて帰るのかー。
にわか雨? 深夜? 所々? どこが!
と思っていたら、スタッフの人が、
『漫画喫茶で、雨宿りしていったらどうですか?」
と、言ってくれました。
そう、実を申しますと私は、この漫画喫茶とやらに行ったことがなかったので、この発想が出て来なかったのです。
近くにあった深夜の漫画喫茶は、狭い空間でした。
基本的に店内は明るく、快適に過ごせるよう、静かで清潔なのですが、なんか夜の都会で、 ” 行き場をなくした疲れ果てた人たちの最後の漂着場所 ” といった感じ。
受付のスタッフの人も、目を合わすことなく、無表情なまま、機械的に案内をしてくれるだけでした。
それでも、この大雨の中、かけがえのない自分空間です。
私の居場所は『リクライニングの25番』。
迷路のような通路を奥に行き、『25番』と書かれた、形だけのドアを開けて中に入ると、狭い縦長の空間に、机とパソコンと、リクライニングチェアがあります。
水のしたたるビニール傘と無料サービスのドリンクを机に置き、深夜なので出来るだけ音を立てないよう、無理な体勢でゴワゴワの皮ジャンを脱いでハンガーにかけ、狭いチェアに深々と沈んで、苦労してブーツを脱ぎ、そこでようやく1日の深いため息をつきました。
狭い縦長の空間は、わたしのその日の最後の砦でした。
結局そこに、3時間ほどいましたでしょうか。
コンビニ弁当をひとり黙々と食べ、懐かしい漫画をパラパラとめくり、ヤフー天気予報で外の様子を知り、インターネットを眺め、無料のコーヒーを飲み、トイレで顔を洗い、隣からは誰かのスースーという寝息が聞こえ。。。
雨が上がり、夜の都会の地下の一角から外界に出ると、冷たい冷気が顔を刺激し、すっかり雨の上がった雲のスキマから星がちらっと見えました。
ちょっとしたホームレス体験だったでしょうか。
やはり人間も生き物ですから、ほんの僅かな居場所でも、安心して安らぐ『自分の巣』というものは必要なようです。
ヤフー天気予報が外れてくれたおかげで、ふだん体験しない、貴重な時間を過ごせた様な気がしました。