2009-02-01

イッチョメ

 ここに一冊の本があります。

{ 8時だョ!全員集合伝説 }。

 

 この『8時ダヨ!!ぜんいん、しゅうご~~う!!』のフレーズ。 

読者の方の中にも、このフレーズで育った世代の方は多いと思います。

私も子供の頃、毎週土曜日にこの番組を見て大笑いするのが、唯一の心のオアシスでしたね。

 

 ですから、最後にカトちゃんが、

『歯~みがけよ!』

『また来週~!』

という瞬間が、とても悲しくて寂しくて、たまらなかったです。

 

 いつ頃から見始めたのかは、さだかでないんですが、志村が加入する前の、加トちゃん全盛時代からのファンのように思います。

懐かしいですね~、

『うおっす! もう一丁、うおっす!!』

もうこれだけで、在りし日のドリフターズとお茶の間の、団欒のひとときが彷彿とされます。

 

 いつも不思議だったのは、番組が始まった瞬間の、ブラウン管を通して一気に伝わってくる会場の熱気でした。

 

 直後、いかりやの

『8時だョ!~』

のかけ声と会場の

『全員集合~!』

の声のテンションの高いこと。

 

 これは伝説本によると、普通、生番組はスタッフから本番前に5分程度、” 拍手の仕方とかの事務的な説明 ” があるらしいのですが『8時だョ~』の場合、なんとドリフメンバーが30分も前にステージに立ち、

『はい、そこのおかあさん、拍手する時にワキの下押さえないように!』

とか、

『高木ブーにえさを、与えないでください』

とか、ミニコントを繰り広げつつ、会場中を大盛り上げに盛り上げて、一気に本番に突入していたそうです。

 

 さすが、視聴率40~50パーセントを誇った怪物番組。

 

 びっくりしたのは、この土曜日の一時間の生放送の為に、毎週ドリフメンバー全員が、木金と徹夜に近い状態で、ゼロからコントを作り上げていたということです。

 

 普通、ネタ作りは放送作家とかがやるもんでしょうが、ドリフの場合、いかりやが少しでもネタに違和感を覚えると、すぐに待ったがかかり、そうなると平気で、5時間6時間が過ぎていき、又始めからの構想の練り直しらしいです。

 

 毎回こんなんですから、リハのランスルーなどする時間は、到底ありません。

いつも本番ギリギリまで、ネタ合わせに費やされ、そのまま本番突入だったそうです。

 

 まさに、生みの苦しみ。

これをなんと、16年間も続けてたんですから驚きですね。

聞くだけで、また胃が痛くなってきます。

 

 そんな数あるネタの中でも、個人的に好きなネタは、志村と桜田淳子の

『アタシってダメな女ねシリーズ』

でした。

 

 志村が帰っても、米は炊いてない、風呂は湧かしてない、ダメダメ新妻の淳子が、その度に志村に怒られる。

すると急に悲しい音楽が流れ、

「アタシってダメな女ね、ヨヨヨ~」

と、泣き崩れる淳子。

そんなことはナイヨ、ゴメンよ、愛してるよ、と必死になだめる志村。

 

 するととたんに、バラ色の音楽が流れ、

「淳子、幸せ!」

と叫ぶ淳子に、あ~もう、めんどくせーなーと超情けない顔をする志村。

と、これだけのコントなのですが、毎回、妙に壷にハマってました。

 

 あとはお化け屋敷シリーズですかね。

暗い屋敷内を、探検するドリフ隊員の後ろに、ガイコツが近づいてきて、会場中が

「志村!後ろ!うしろ!!」

と絶叫するんですが、へ?後ろ?と、志村が振り返った時には、ガイコツは消えてます。

 

 あのドキドキ感が、子供心に、とてもワクワクしましたね~。

あと、国語算数理科社会シリーズ、長屋シリーズとか。

いかりやと、いかりやをハメようとする、4人のベタなやりとりが、とても気に入ってました。

 

 今思うと、週末の家族の団欒の時間を、日本中がゆったり暖かく過ごせていたであろう、幸せな時代だったんじゃないかなー、と思います。

その家族を、週末夜8時に、集合させてくれていたのがドリフターズであり、ですから私の中では

『イッチョメイッチョメ、ワーオ!』とか、

『ヘックション!』とか、

『チョットだけヨ~』

というフレーズは、私の人生の、ゴールデンタイムのキャッチフレーズでもあり、幸せな過去の象徴、幸せな時間の象徴、でもあるのです。

 

 でも

『チョットだけヨ~』

が座右の銘というのも、うーん、なんというか。。。。。。。。ダメだこりゃ!