前回の三股リポートの時は、当然ながら飛行機で帰ったのですが、飛行機自体、超久しぶりに乗りました。
飛行機は、離陸時のあの急激なる加速が、とっても気に入ってます。
子供のころ初めての乗った時は、もうびっくりでした。当時の我が家のマイカー、パブリカの加速とは、比べ物にならないくらいの強烈なダッシュ。
シートにお尻がグググッとめりこんでいっても、まだまだ容赦しないあの、ありえないくらいの加速の仕方。なんか懐かしいなあ。
久しぶりの宮崎空港は、滑走路が2500メートルに延伸され今や「日本一のローカル空港』なんて言われているようですが、昔は一地方の鄙びた空港でした。
子供の頃、おやじさんから聞いた話ですが、福岡からの出張帰りの飛行機でのこと。
宮崎空港の滑走路は、海に面しているために、海上にガスが発生すると着陸がとても困難になるらしく、その時もかなりの濃霧だったそうです。
で、おやじさんの飛行機は、果敢にもそのガスの合間を抜けて、どうにか着陸しようとしてたらしいのですが、なかなか滑走路が視認できず、何度もやり直しをしてたらしいです。
で、ようやく最終アプローチまで、こぎつけてイザ、着陸!となった時、霧を抜けてようやく見えた滑走路はなんと、斜めに見えていたらしいです。
真っ直ぐのつもりが、斜めに着陸しようとしてたんですね。
当時は、進入管制システム自体が発達していなかったので、最終段階ではパイロットの、目視に頼る部分が多かったみたいです。
結局、飛行機は着陸不可能ということで、再び福岡空港に戻ったらしいですが、またそこから福岡まで戻れるというのもスゴイですね。
まあ、そんな話を聞いていたもんですから、宮崎に飛行機で帰るたび、着陸の時はちゃんとまっすぐに飛行機が滑走路に進入しているか、気にする癖がついていました。
前回は、眼下の日向灘の白波が大きくなったと思ったら、延伸された滑走路がスッと真下に見え、そのままドーンと着陸したので、ヨシヨシと思っていたのですが、今回はなぜか様子が違いました。
海岸線が見えるようになっても、機は一向に高度が下がりません。
それどころか、エンジンのうなりが一段と大きくなり、ふわりと上昇を始めました。
これはおかしい。
下を見るとすでに、宮崎空港とおぼしきものは、だんだんと小さくなっています。
どうやら飛行機は進入に失敗したみたいです。でもなぜなんだろう?
といいますのは、その時の天候は快晴で視界も良好、海に立つ波の様子からも、さほど風が出ている訳でもなさそうでした。
ですから親父さんの時みたいに、天候の影響があるとはどうも考えにくいのでした。
そういえば、前回着陸のアナウンスの後に、車輪の出るウイイ~ン、ガコーンという音がしたのですが、今回はその音を聞いてません。
と、いうことは、もしかしたら降着装置に不具合が出て、着陸できず急上昇して、善後策を管制塔と協議しているのでしょうか?
最近、よく車輪が出ない胴体着陸のニュースを耳にします。
さあ、大変なことになってきました。
そう考えると、先ほどの急上昇も話が合います。
ふとここで、私の愛読書である「大空のサムライ」の一節を思い出しました。
『飛行機乗りにとって飛行中のトラブルは、もっとも考えたくないことである。だがもし、飛んでいる最中にトラブルが起こってしまった時、一般には高度が低ければ安心、と考えられがちであるが、実はまったく逆であって、高度が高ければ高いほど、パイロットは安心できるのである。なぜならば、高度が低ければ地面との距離が近いために、不時着のための時間的余裕が無く、少しのミスが命取りになりかねないが、逆に高度が高ければ、心を落ち着ける時間的余裕もあり、安全な降着地点を探したり、その間に不都合の対処もできる訳である。』
ということは、降着装置が本当に動かなくなってしまったのであれば、そしてそのために着陸を断念し、山に向かって上昇したのであれば、この機は万一の墜落にそなえ、人口密集地を避けたと推測されるわけです。
どうやら、万に一つも出くわさないだろうと思っていた、飛行機事故に遭遇しているようです。
そうこうしている間にも飛行機は、山間部上空を飛んでいきます。やはり明らかにいつもとルートが違います。
それに先程から、どうにも微妙な揺れ具合です。
これは、もっと他の箇所のトラブルなのではないでしょうか?
すると飛行機は急旋回をはじめ、エンジン音が非常に高い金切り音になりました。
と急に、飛行機がストンと落ち、その直後ゴンガゴンという何かが、軽い衝撃が客席に伝わってきました。
これはもしかしてエンジン自体に何かトラブルが発生したのでしょうか。
もしかしてエンジントラブル?
外の景色は、よく晴れてますからくっきりと見えます。
その高さは、いわゆる { 余裕ある高度 } ではまったくありませんでした。
あろうことか機は、いつのまにか山あいの新興住宅地上空を、かなりの低空で、フラフラさまよっているではありませんか。