冬はバス停での待ち時間は辛いですね~。
駅とかだったら、地下鉄とかはまだ暖かい場所だったりしますが、バス停は基本吹きっさらしですから、芯から体が冷えてきます。
そんな時、さりげなく向こうの角を廻ってやってくるバスは、小旅行とはいえ、この寒い時期ありがたいものです。
でも、そのひたむきな後ろ姿には、ちょっとした哀愁があると思いませんか。
夜も11時を回り、駅前の最終バスともなると、ふつう長蛇の列になるのですが、地元の小さな駅の最終バスは、10人程度の人が並んでいるだけです。
バスは時間までじっとうずくまったまま、扉をあけて乗る人を待っています。
人気のない待ち合いロータリーは、薄暗い街灯がバス停をボッと照らしています。
結局、時間まで待ちましたが、それ以上お客は来ず、バスはドアをバタンと閉めて走り始めました。
真福寺、麻生不動入り口、裏門下、王禅寺坂上、と停留所に止まる毎に人は減り、最後には私だけを乗せて、ブワーンと大層な排気音をたてて、深夜の道をバスはひた走ります。
暖かい車内から見える夜の風景は、住宅地のポツポツとした明かりで、そのまわりの木々は寒々と葉を落とした姿で、夜の闇に溶け込んでいます。
やがて最寄りのバス停で私を降ろすと、バスはただ走ることだけに集中しているかのごとく、暗くゆるく伸びる道へと走り去ってゆきました。
『夜のバスって、なんだかソソりますね。』
生徒さんの一人が言ってましたが、薄暗い車内の明かりと赤いテールライトが、闇のむこうに、だんだん小さくなっていくその後ろ姿は、この冬枯れの夜にまさしくぴったりの絵画のようです。
ひたすら走りつづける、そのずんぐりした後ろ姿に、親父の背中的な哀愁を感じるのは、私だけでしょうか。