2013-09-15

バブリーラヴリー

 8月のお盆休み明けに、田舎からメールが来ました。

バブル期のチョコレート作りの本からの引用だそうです。

 

 

 【テンパリングってなあに?

『テンパリング』というのは、温度を調節しながらチョコレートを溶かし、よい状態のまま固める作業のこと。

おいしくてきれいなチョコを作るには、ゼッタイに必要なテクね。 

テンパリングがうまくできていないと、固まらなかったり、型からぬけなかったり……。

ウェーン、泣き出したくなるようなことばかり。

こんな失敗をしないために、チョコレートのことを、ちょっぴり知っておいてね。】

 

 

 メール送信者はこのウェーン!のあたりで卒倒しそうになったそうです。

 

 なんでも最近クッキーを作る必要が出来たので、昔の本を引っぱり出したところ、この強烈な何かに憑衣されたそうです。

メール送信者からは、さらに次の警告と、追加のバブル期文章が添えられておりました。

 

 (バブル時代の日本人は、調子にのり過ぎていたなんて言いますが、こわいもの知らずなほどの、元気なあのテンションとノリ、何だか時代のエネルギーというものを考えさせられました。

とはいうものの、これらの文章を読むとやっぱりパワフルすぎて玉砕します。

心の準備をして、ゾゾ立ててください。)

 

 【 ジャズと深夜と、あの人と、トリュフ。

テレ屋の彼は、ちょっと怒ったような顔をして、小さな包みを受け取りました。

中は、わたしメイドのトリュフです。

ほんとうは、とってもうれしいはずなのに、どうして素直に喜べないの?

だけど今ごろ『アイツもやるナ』って微笑みながら、口にしてるにちがいないわ。

ワイン片手に、彼は何回『おいしい』って言うかしら、、、】

 

 うーん、女子の気持ちはなかなか難解なもんだ、とはかねがね思っておったのですが、ホンマにこんなこと考えながら、手作りチョコレートを作ってたりしてたんでしょうか?

 

 これは女子向けの本ですから、当時の女子にはフツーに受け入れられていた、と言うことですかね? 

ということは、日本人の適齢期女性の10人に1人がそうだったとしても、かなりの勢力になります。

それらの人達が、深夜台所でなんかコネながら、ウフフッとか言ってたんでしょうか?

 

 【 チョコレートのフリルでドレスアップしたロールケーキ。

この日のために編んだセーターといっしょに、彼の元へと届けます。

気持ちはいつも、オンリーユー。

愛しているから贈ります。

マイ・ハートチョコレート

チョコに託した気持ちと味は、ほかの誰にも負けません。

アダルト派の彼とのお茶の時間は、ノン・シュガーのカフェ・オ・レと、ハートメイドのお菓子です。

早くあなたに食べてほしいような…いつまでも眺めていてほしいような…

二人だけのバレンタイン、彼の部屋で、甘く温かくすごします、、、】

 

 このあたりになると、もう日本人にダイレクトに響くリズム的な何か、そう5・7・5調の調べ。これです! 

ファイブ・セヴン・ファイブに乗せた、ピンクなハート満開、ラブラブ攻勢を感じます。

 

 やはり大和撫子は、現代でも意外に古風なのか?

かわず飛び込む、水の音  ≒  気持ちはいつも、オンリーユー。

夢は枯れ野を、駆け巡る  ≒  ほかの誰にも、負けません。

殺してしまえ、ほととぎす  ≒  愛しているから、贈ります。

 

 ほらね。流れが一緒でしょ。

松尾芭蕉の時代から、熟成に熟成を重ねたゴーシチゴー(何となくですが、ラップ調に発音願います)は、現代バブル期に於いて、一気に花が咲いたがごとくです!

あとメール送信者が、オマケで感銘を受けた、とかいう文章が来てました。

 

文例集。。。

彼の腕の中へスロー・イン。。。

指先に思いをこめて、ハートも一緒にロール・オン。。。

ス・マ・イ・ル、、、だ・い・す・き・よ。。。 

等々、、、

 

 いかがでしたでしょうか?

ドキドキしながら、お読みになられましたでしょうか? 

わたしは、書きながら幾度となく気が遠くなりかけて、、、

 

 

 チュンチュン、チュンチュン、

いかんいかん、気絶してた。もう朝だ。。。