8月のお盆休み明けに、田舎からメールが来ました。
バブル期のチョコレート作りの本からの引用だそうです。
【テンパリングってなあに?
『テンパリング』というのは、温度を調節しながらチョコレートを溶かし、よい状態のまま固める作業のこと。
おいしくてきれいなチョコを作るには、ゼッタイに必要なテクね。
テンパリングがうまくできていないと、固まらなかったり、型からぬけなかったり……。
ウェーン、泣き出したくなるようなことばかり。
こんな失敗をしないために、チョコレートのことを、ちょっぴり知っておいてね。】
メール送信者はこのウェーン!のあたりで卒倒しそうになったそうです。
なんでも最近クッキーを作る必要が出来たので、昔の本を引っぱり出したところ、この強烈な何かに憑衣されたそうです。
メール送信者からは、さらに次の警告と、追加のバブル期文章が添えられておりました。
(バブル時代の日本人は、調子にのり過ぎていたなんて言いますが、こわいもの知らずなほどの、元気なあのテンションとノリ、何だか時代のエネルギーというものを考えさせられました。
とはいうものの、これらの文章を読むとやっぱりパワフルすぎて玉砕します。
心の準備をして、ゾゾ立ててください。)
【 ジャズと深夜と、あの人と、トリュフ。
テレ屋の彼は、ちょっと怒ったような顔をして、小さな包みを受け取りました。
中は、わたしメイドのトリュフです。
ほんとうは、とってもうれしいはずなのに、どうして素直に喜べないの?
だけど今ごろ『アイツもやるナ』って微笑みながら、口にしてるにちがいないわ。
ワイン片手に、彼は何回『おいしい』って言うかしら、、、】
うーん、女子の気持ちはなかなか難解なもんだ、とはかねがね思っておったのですが、ホンマにこんなこと考えながら、手作りチョコレートを作ってたりしてたんでしょうか?
これは女子向けの本ですから、当時の女子にはフツーに受け入れられていた、と言うことですかね?
ということは、日本人の適齢期女性の10人に1人がそうだったとしても、かなりの勢力になります。
それらの人達が、深夜台所でなんかコネながら、ウフフッとか言ってたんでしょうか?
【 チョコレートのフリルでドレスアップしたロールケーキ。
この日のために編んだセーターといっしょに、彼の元へと届けます。
気持ちはいつも、オンリーユー。
愛しているから贈ります。
マイ・ハートチョコレート
チョコに託した気持ちと味は、ほかの誰にも負けません。
アダルト派の彼とのお茶の時間は、ノン・シュガーのカフェ・オ・レと、ハートメイドのお菓子です。
早くあなたに食べてほしいような…いつまでも眺めていてほしいような…
二人だけのバレンタイン、彼の部屋で、甘く温かくすごします、、、】
このあたりになると、もう日本人にダイレクトに響くリズム的な何か、そう5・7・5調の調べ。これです!
ファイブ・セヴン・ファイブに乗せた、ピンクなハート満開、ラブラブ攻勢を感じます。
やはり大和撫子は、現代でも意外に古風なのか?
かわず飛び込む、水の音 ≒ 気持ちはいつも、オンリーユー。
夢は枯れ野を、駆け巡る ≒ ほかの誰にも、負けません。
殺してしまえ、ほととぎす ≒ 愛しているから、贈ります。
ほらね。流れが一緒でしょ。
松尾芭蕉の時代から、熟成に熟成を重ねたゴーシチゴー(何となくですが、ラップ調に発音願います)は、現代バブル期に於いて、一気に花が咲いたがごとくです!
あとメール送信者が、オマケで感銘を受けた、とかいう文章が来てました。
文例集。。。
彼の腕の中へスロー・イン。。。
指先に思いをこめて、ハートも一緒にロール・オン。。。
ス・マ・イ・ル、、、だ・い・す・き・よ。。。
等々、、、
いかがでしたでしょうか?
ドキドキしながら、お読みになられましたでしょうか?
わたしは、書きながら幾度となく気が遠くなりかけて、、、
チュンチュン、チュンチュン、
いかんいかん、気絶してた。もう朝だ。。。