光輝く太平洋に面し、青島より堀切峠をすり抜け、南国日南へと下る国道220号線。
その一瞬の通りすがりを側道に入ると、世間から忘れ去られたような野島部落の古い家々が、昔ながらに軒を連ねています。
チビナベが中ナベあたりになった頃、休みともなると、この野島のナベママ実家によく入り浸っておりました。
別に何をするわけでもないのですが、ただなんとなくここでよく遊んだ幼少期やら、小学校時代を懐かしむ時間をすごすのが、やたらと楽しかったのです。
(あの頃は良かった)
と言っても、まだ中学生ですから、あの頃と言っても、ついこないだです。
それでも、ああ、あの頃はほんとに良かったナア~🍀と、心の底から思って一人、涙しておりました。
変な趣味に走っていた時期だったようです。
そんな時に、隣の家からビートルズが流れてきたことがありました。
日曜日の長閑な昼下がり。
緑生い茂る山々の麓の民家から、流れてくるヘイジュード。
今は同じ中学生であろう、昔一緒に缶けりをして遊んだ男の子が聴いているのかも知れないし、嗜好的にもっと上の大学生の誰かかな。
よほど気に入っているらしく、曲が終わると巻き戻して、何度も聞いているようで、静かな部落にヘイジュードが繰り返し繰り返しずっと流れていました。
陽が傾いて夕靄が霞んできた田舎と、ポール・マッカートニー。
思い返すと、なんだか幻のような記憶です。
そんな田舎の村にこないだ帰省してきました。
毎週日曜日、ノスタルジック少年コナベを構ってくれていたじいばあは既に亡く、裏のお隣さんの家は更地に。
子供たちが走り回っていた、あの頃の賑わいは夢のあとで、界隈にはすっかり人がいなくなり、うちの実家も今は空き家。
隣の家からも、もうビートルズが流れてくることはなく、静かに戸が閉まっていました。
ああ、あの頃はほんとに良かったなあ。
この村に来ると、やはり今日も、中学生の時のようにしみじみと、そう思うのです。
逝くひとは逝き、その子孫たちはどこかで人生の続きを過ごしていて、その皆が行き交っていた、今は脱け殻のような懐かしい田舎の家々。
寂しい風景ですが、でもその連なりに佇んで当時のことに想いを馳せながら、
良かったなあ、良かったなあ、
と、そう思うのです。
1年は長いですけど、あっという間にやってくる大晦日。
こうして毎年、皆さんに見ていただく年の瀬のメッセージを綴れることは、とても幸せな事だと、思います。
去年の暮れ、おととしの暮れ、あああの年も良かったなあ、とまたいつか振り返りたいと思います。
皆さん、今年も1年たいへんお疲れさまでした。
何かと忙しない年が続いております。
どうぞ、体だけは健やかにお元気で、お過ごしください。
また、ライブや日記でお会いできることを楽しみにして、新たな2024年を迎えたいと思います。
良いお年を!