昭和風散策日記。
居酒屋を出、裕次郎の歌声が流れる駅前の通りをぶらぶらと歩きながら、ちょっと静かな路地にさしかかると、今だにモルタル作りのアパートが健在だったりします。
このアパートはさっき居酒屋に入る前は、まだ電気が付いていたなあ。
灯が消えると、すっかり廃墟のように見える建物を眺めながら、春の夜を楽しんでいます。
車に着いて、すっかりメッキの剥げたイグニッションにキーを差し込むと、古い4発エンジンが唸りを上げて目を覚ましました。
車載のオーディオはノーマル、クロム切り替えのカセット式。
古すぎて、壊れてないかどうかも、まだ試していないほど。
なので、このクルマはもっぱらFM局が、昼も夜もいつも短い旅のお供です。
田舎で聞いたFM番組 ” スクールオブロック ” が、こないだ神奈川でも聞けたので、この番組が初めて全国区だったのを知りました。
夜の田舎で、ドライブしながら聞いてた時は、FM電波から流れて来るラジオに、
『彼方に広がる、憧れの都会の夜空』
の感覚を、途切れ途切れの電波のすき間に楽しんでました。
懐かしい、若かりし頃の感覚。
が、こちら神奈川で聞くと、同じ番組ながらその憧れ感がなく、不思議と身近な当たり前な感じに思われました。
居る場所が1200km違うだけで、感覚も違ってくるのかな。
今夜のスクールオブロックは既に終わっていて、ジェットストリームを聴きながらの夜のドライブです。
マイルスデイビス、ジョン・ディー・マルチーノ、マイケル・マクドナルド、、、古い機器ゆえに感度の悪い、かすれた電波ながら、流れてくるジャズはどれも逸品です。
今夜の選者は、なかなかセンスが良いなあ。
あーこのCD欲しいなあ、またこれでお小遣いが減るなあ、とブツブツ思いながら結局、途中で区切れず、番組が終わるまで、無駄にゆったり過ごした夜のドライブ。
これからのシーズン突入で、忙しくなる嵐の前の静けさ。
心を豊かにしてくれた、短い昭和旅の、夜のひとときとなりました。