2012-04-01

今年はお休み

 昨年の夏の夜のお話。

 

 バイクで帰宅途中に、なんと道路上にしゃがんでいる子猫を目撃しました。

というか、そのすぐ横をすり抜けたんですが、一瞬まさかと思いました。

 

 でもバイクを止め、歩いてそこに戻ると、やはり子猫が追い越し車線に腰を抜かして、座り込んでいました。

 

 多分不用意に道路上に出てきて、凄まじい交通量に動けなくなってしまったものと思われます。

たまたま赤信号で車がストップしてたのですが、わたしが近づいてようやく我に帰ったのか、いきなり逃げ出しました。

 

 でも逃げたはいいが、対向車線に逃げたから大変でした。

信号が青になり、車が加速し始めてます。

なので、充分注意しながら

「止まれー!ネコ!ネコ!ちょっと止まって!」

と大声でわめき散らし、両手を振りながら、車列を一時的に止めました。

超迷惑な不審者です。

子猫も迷惑千万なやつですが、、、

 

 子猫は、止まってくれた車の下に逃げ込んだので、すばやく鷲掴み確保。

危険なので、とりあえず現場を離れて、すぐにバイクの所まで戻りました。

 

 飼い猫では勿論なく、ノラ猫でしょう。

しかも腰を抜かしていた路上で失禁していたので、もうクサイのなんの。

猫ちゃんのおしっこは濃ゆいので、ちょっとキツかったです。

 

 しかもですな、腕の中で暴れまくり、敵意に満ちた目で撫でている手に爪を立てたり、隙あらば私の喉笛めがけて、するどいキバを剥いてきます。

やっぱライオンの種族ですなあ。

勇ましいというか、こんなチビでも、闘いの仕方を本能で知っています。

 

 でもなんか、救出はしたものの、クラクションはバンバン鳴らされるわ、肝心の子猫には感謝もされないどころか、喉を咬みちぎられそうにはなるわ、手袋とジャケットにはおしっこの匂いが染み付くわ、もうさんざんでした。

なんかさすがに、自分がご苦労さん!になってきました。

 

 でももうヘタな所には放せないので、脇道から住宅街にだいぶ入って、車の来ない茂みの中に放しました。

すばやい逃げっぷりから判断して、どうやらどこもケガはしていなかったようです。

 

 まあ命が助かったから良かったんですが。

あの敵意に満ちた目は、なんか忘れられなかったですね。

 

 まあでもきっと懲りたでしょう。

これで、少しは長生きするはず。

すっかり臭くなって毛だらけになった手袋を見ながら、もう2度目はないからね、あんた少しは気をつけなさいよ、と心の中でつぶやいた、ある夏の夜でした。