昨年の夏の夜のお話。
バイクで帰宅途中に、なんと道路上にしゃがんでいる子猫を目撃しました。
というか、そのすぐ横をすり抜けたんですが、一瞬まさかと思いました。
でもバイクを止め、歩いてそこに戻ると、やはり子猫が追い越し車線に腰を抜かして、座り込んでいました。
多分不用意に道路上に出てきて、凄まじい交通量に動けなくなってしまったものと思われます。
たまたま赤信号で車がストップしてたのですが、わたしが近づいてようやく我に帰ったのか、いきなり逃げ出しました。
でも逃げたはいいが、対向車線に逃げたから大変でした。
信号が青になり、車が加速し始めてます。
なので、充分注意しながら
「止まれー!ネコ!ネコ!ちょっと止まって!」
と大声でわめき散らし、両手を振りながら、車列を一時的に止めました。
超迷惑な不審者です。
子猫も迷惑千万なやつですが、、、
子猫は、止まってくれた車の下に逃げ込んだので、すばやく鷲掴み確保。
危険なので、とりあえず現場を離れて、すぐにバイクの所まで戻りました。
飼い猫では勿論なく、ノラ猫でしょう。
しかも腰を抜かしていた路上で失禁していたので、もうクサイのなんの。
猫ちゃんのおしっこは濃ゆいので、ちょっとキツかったです。
しかもですな、腕の中で暴れまくり、敵意に満ちた目で撫でている手に爪を立てたり、隙あらば私の喉笛めがけて、するどいキバを剥いてきます。
やっぱライオンの種族ですなあ。
勇ましいというか、こんなチビでも、闘いの仕方を本能で知っています。
でもなんか、救出はしたものの、クラクションはバンバン鳴らされるわ、肝心の子猫には感謝もされないどころか、喉を咬みちぎられそうにはなるわ、手袋とジャケットにはおしっこの匂いが染み付くわ、もうさんざんでした。
なんかさすがに、自分がご苦労さん!になってきました。
でももうヘタな所には放せないので、脇道から住宅街にだいぶ入って、車の来ない茂みの中に放しました。
すばやい逃げっぷりから判断して、どうやらどこもケガはしていなかったようです。
まあ命が助かったから良かったんですが。
あの敵意に満ちた目は、なんか忘れられなかったですね。
まあでもきっと懲りたでしょう。
これで、少しは長生きするはず。
すっかり臭くなって毛だらけになった手袋を見ながら、もう2度目はないからね、あんた少しは気をつけなさいよ、と心の中でつぶやいた、ある夏の夜でした。