2007-11-15

侮れない修行

 見られた方も多いでしょうが、こないだ深夜遅くに、TVで「怒りのメカニズム」というのをやっていました。

被験者には、健康値測定だとか言って、装置を取り付け(実は怒りの指数センサー)、わざとその被験者を怒らせる、というドッキリスタイルの展開でした。

 

 いや~、根が小心者だからもうドキドキして、見ちゃいられんかったですねえ。

なんでわざわざ人を怒らすの?って感じですが、そこはまあ実験だから仕方ないです。

 

 で、いろんな方が、カメラの隠してある喫茶店に来店するわけですが、店員の態度が超サイアク。

何度も何度も、注文を聞きにきたり、その聞き方も、

「注文なんスか?」

とかだったり、被験者がちょっと文句を言うと、

「はい、了解。」

とか、けんもほろろだったり。

この時点で、被験者の怒り指数(平静時は60くらい)が85、120、160とうなぎ登りに上がっていくわけです。

 

 で、もう一触即発寸前!まできたら、スタッフが、

「どうもすいませんでした~」

と、タネ明かしをやる訳ですが、もう見ている方はハラハラドキドキ、心が痛いのなんのって、、、。

 

 穏やかそうな、おじさんとかおばさんが、だんだん豹変していって、

「ちょっと!!失礼な態度、やめてもらえます!!」

とか、店員に詰め寄っているのって、チョーコワイ。

 

 で、そうこうしていると、今度は非常に穏やかそうなお坊さんが、被験者として喫茶店にきました。

えーっ、こんな人の良さそうな人も騙すんかいな、もうやめようよー、と思ったのですが、見ていると、なんか今までとちょっと様子がちがいます。

 

 例のサイアク店員が、どんだけ失礼な態度で。注文を何度も何度も聞き返しにきても、お坊さん何度でもニコニコー。

「はい、コーヒーをお願いします。」

しばらくして店員「最初確かトマトジュースって聞いたんですけど」   

お坊さん (ニコニコー)「はい、コーヒーをお願いします。」   

あげくの果てに店員「日曜はコーヒーやってないんですげど」  

お坊さん(ニコニコー)「じゃ、なんでもいいです。」

 

 ちなみにこのお坊さんの数値は、常に60前後。と、ここで今度は番組側がギブアップ!

タネ明かしをして、お坊さんの完封勝ちー!!

 

 どうやら今までの方々は、皆さん、やられたらやりかえす方向で対処してたんですが、このお坊さんは、このイライラ中枢への攻撃に対して、理性の抑制ですぐ対応する術、を身に付けられているようでした。

 

 ただ、一度だけ数値が、60から65に変動した時がありました。

それは、コーヒーは日曜はやってないと言われたのに、他のお客には店員が、

「コーヒー、お待たせいたしました」、と持っていったのを、聞いた時でした。

 

 

 ですが、その変動も一瞬のことで、すぐに平常値60に、数値は落ち着きました。

不慮の展開に対しても、自然に精神がニュートラルに保たれる。

 

 後で、お坊さんに聞いたところ、

(自分は今日ここに、コーヒーを飲む為に来た訳ではないから、別に何でもよい)

と、自分で自然に、理性を働かせたらしいです。

なので、怒りの感情が増幅せず、平常心を常に保つ事ができたんですね。

 

 いやあ~サスガ、修行の賜物。

やっぱお坊さんは俗人と違うわ。なんかその飄々とした風情が、超かっこ良かったです。

私も、休みの度に、引き蘢りとかばっかりやってないで、少しは人生修行して、生き方を見直してみよう、と、一瞬だけ思いました。