使い捨てな時代です。
携帯も、
『その機種はもう部品がないんです』
プリンターを修理に持っていっても、
『もう機種が古いので修理出来ません』
この風潮、いかがですかね。
形あるもの、いつかは壊れますが、まだ99%使えるのに、企業のサポート都合で
『お取り扱い出来ません』
の一言。
企業も企業で、自分とこが作った商品が、元気なのにゴミにされることについて、悲しくないのだろうか。
平和な日本に生まれて、つくづく良かったとは思っていますが、高度成長期あたりから始まったこのアメリカナイズな大消費習慣。
消費こそ美徳とカン違いして、使い捨てに走りはじめた日本のモノに対するモラリティには、つねづね疑問符が湧くのです。
話によるとヨーロッパの国々では、100年以上も前の家具、建物などを大事に使う文化が、今だに数多くの国で健在だと聞きます。
いいものを作り、使える以上は使う。
当たり前だと思います。
また、新しいものを購入することはやはり楽しい事ですが、だからといってまだ使える物を、無造作にどんどん捨てていい事ではないと思います。
使わなくなったら手間を惜しまず、出来る範囲で、少しでもリサイクルに回せば、必要な人が再利用できますから。
こないだ、35年前のポンコツをわざわざ購入し、この先一生大事にするつもりで、部品かき集め作業に入りました。
でもどうしても最重要部品がないんです。
タイミングベルトといって、エンジンの重要な駆動ベルトなんですが、ゴム製なのでいつかは切れます。
10万キロ毎の交換設定なのですが、このベルト、切れたらエンジンが、中でグチャグチャになります。
こいつがない!
ネットで全世界どこ探してもない!!
海外はアフターマーケットが充実してますから、大概は入手が可能なんですが(やっぱ海外はものを大事にするなあ)このタイミングベルトだけが、ないんです。
もう35年前のクルマゆえに、距離より劣化で、おそらく寿命がきているはずなので、毎回の始動すらドキドキです。
が、エンジンをかけないことには整備が出来ないので、いつ壊れるか、いつ変な振動が飛び出してくるか、命の縮む思いです。
で、その大慌ての状態の中、SNSで同好の士の方々からのご指摘、
『タイミングベルト? その時代のクルマはタイミングチェーンなのでは?』
ガ~~ン!(大袈裟ではなく、頭の中でこんな音がしました)青天の霹靂です。まさに。
えっっっ、そーだったの?チェーン? 改めてクルマを見てみると、確かにベルトカバーが見当たりません。
ということは、このクルマはオンボロながらも、交換不要のタイミングチェーン駆動だったんだ!
ドバーン!という大波。
どう言う大波かと言いますと、35年の歳月の彼方からの、ニッポンのエンジニアたちの、これぞまさに
『モノをたいせつにする心』。
『使い捨てなんかにしなくても、大事に乗れば、このクルマはいつまでも元気に走ってくれるよ。
モノだけは、いいものを作りましたから。
じゃ、よろしくね。』
35年前のはるか彼方からの、彼らの声が聞こえてきた気がしました。
先人達の地味ですが、プライドと愛を傾けて出来た一台のクルマ。
クルマに出会えたというより、それにかける彼らの思いが、いまもそこにあった。
このことにはちょっと頭が下がりました。
またいつか、この時代のように、ものを大切にする美しい心が、日本のモノ文化に反映されることを願っております。
なので、携帯会社さん。ガラケーだけど修理、頼みますよ。