2016-08-01

初Jazz

 初めてジャズフェスに行ったのは、中学2年生の時でしたかね。

行こうと思った理由は、UMK宮崎放送がその時流していた、フェニックスジャズインの宣伝のBGMが、とてもおしゃれな感じだったからです。

スパイロジャイラだったかな?

 

 そのCMは、アルトサックスを下から写した映像がとても肉感的で、流れる音楽との相乗効果で、なんかなんだか分からないけれども、きっと今でいう

『フェロモン』

を感じていたような気がします。

その洗練された音楽と、《サックスの造形》の独特さの融合に、魂を揺さぶられた、とでもいいましょうか。

 

 兎にも角にも、そのまだ見たこともない、ジャズフェスとやらに、なにか未来を切り開くようなものを、まあオーバーな言い方かもしれませんが、でもそういった期待を持って、学校を合法的にサボって行ったと思います。

 

 で、行った先はなんとカオスの現場でした。。。

以前も書きましたが、オッチャンたちがビールを浴びるように飲みながら狂乱し、屋台ではカップラーメンを一杯500円(今じゃ1000円てとこか)でボッタ売り、それでもそれに群がる不経済な大人たち(コナベもほんとは空腹だったけど、高いから買えなかった)。

見ず知らずのオッチャンから、お前も立て!とスタンディングを強要されたり、テレビの宣伝とは360度かけ離れた世界でした。

 

 そして初めて聴くジャズ。。。

あのこれは一体なんじゃ?的な。

訳わかりません。

 

 太鼓とコントラバスとピアノで、訳のわからんメロディが永遠に続き、超脳みそでんぐりがえる狂気な世界。

パンフレットを見ても、この枠にはベーシスト一人しか参加してない!とか、何が言いたいのか静と動の表現がどうたらとか、LP盤のやたら刺激的なジャケット写真とか。

 

 巨大スピーカーからの生の大音響、鼓膜を突き破るようなサックスの音は、黒板をキーする音の一歩手前的な、快感なのか禁忌なのか、超危険世界の境界線上に位置するような音。 

パンフレットには、この曲はレコードにいついつ吹き込んだ、とか書いてあるのですが、確かにこれは『録音された』なんて、生やさしいもんじゃない。

得体の知れない何かを、レコード盤にフーッと注入したような、まさに『吹き込んだ』空気のバイブレーション。

中学生の自分は、すっかり魂を抜かれました。

 

 こないだ、大西順子の演奏を聴いて、久しぶりにその当時感じた、あの懐かしいジャスフェスのカオス臭を嗅ぎました。

曲はスタンダードなんですけどね。当時は子供だから分からなかった、これは一体何なんだろう??、というカオス臭。

音の洪水の中での、突き抜けた何か。 

 

 Jazzはやっぱりいいですね。