初めてジャズフェスに行ったのは、中学2年生の時でしたかね。
行こうと思った理由は、UMK宮崎放送がその時流していた、フェニックスジャズインの宣伝のBGMが、とてもおしゃれな感じだったからです。
スパイロジャイラだったかな?
そのCMは、アルトサックスを下から写した映像がとても肉感的で、流れる音楽との相乗効果で、なんかなんだか分からないけれども、きっと今でいう
『フェロモン』
を感じていたような気がします。
その洗練された音楽と、《サックスの造形》の独特さの融合に、魂を揺さぶられた、とでもいいましょうか。
兎にも角にも、そのまだ見たこともない、ジャズフェスとやらに、なにか未来を切り開くようなものを、まあオーバーな言い方かもしれませんが、でもそういった期待を持って、学校を合法的にサボって行ったと思います。
で、行った先はなんとカオスの現場でした。。。
以前も書きましたが、オッチャンたちがビールを浴びるように飲みながら狂乱し、屋台ではカップラーメンを一杯500円(今じゃ1000円てとこか)でボッタ売り、それでもそれに群がる不経済な大人たち(コナベもほんとは空腹だったけど、高いから買えなかった)。
見ず知らずのオッチャンから、お前も立て!とスタンディングを強要されたり、テレビの宣伝とは360度かけ離れた世界でした。
そして初めて聴くジャズ。。。
あのこれは一体なんじゃ?的な。
訳わかりません。
太鼓とコントラバスとピアノで、訳のわからんメロディが永遠に続き、超脳みそでんぐりがえる狂気な世界。
パンフレットを見ても、この枠にはベーシスト一人しか参加してない!とか、何が言いたいのか静と動の表現がどうたらとか、LP盤のやたら刺激的なジャケット写真とか。
巨大スピーカーからの生の大音響、鼓膜を突き破るようなサックスの音は、黒板をキーする音の一歩手前的な、快感なのか禁忌なのか、超危険世界の境界線上に位置するような音。
パンフレットには、この曲はレコードにいついつ吹き込んだ、とか書いてあるのですが、確かにこれは『録音された』なんて、生やさしいもんじゃない。
得体の知れない何かを、レコード盤にフーッと注入したような、まさに『吹き込んだ』空気のバイブレーション。
中学生の自分は、すっかり魂を抜かれました。
こないだ、大西順子の演奏を聴いて、久しぶりにその当時感じた、あの懐かしいジャスフェスのカオス臭を嗅ぎました。
曲はスタンダードなんですけどね。当時は子供だから分からなかった、これは一体何なんだろう??、というカオス臭。
音の洪水の中での、突き抜けた何か。
Jazzはやっぱりいいですね。