国分、と聞いて、太一、を思い浮かべる人は、ジャニーズ好きな現代人。
国分、と聞いたら、花は霧島〜、タバコは国分 ♬♪(鹿児島おはら節)、と歌いだす人は、昭和生まれの九州人ですかね。
九州は大隅半島、と言ってもピンと来ない方は、あの桜島のある半島、といえばお分かりでしょうか。
昔の国鉄時代、この大隅半島をぐるりと一周するローカル線に、大隅線というのがありました。
歴史は実に古く、なんと大正4年。
途中区間からの開業で、前後にどんどん延伸していきました。
ですが、ぐるり一周全通までは遅々として進まず、ようやく半島一周が繋がる頃には、辺りにはすでに自動車が溢れかえっておりました。
なので、できた途端に、もう赤字路線。
その後も採算が全く取れず、出来たと思った15年後には、儚くも廃止。
作ってる最中も、完成した当初も、みんなモチベーション上がんなかっただろうなあ。
でも、決められたことを愚直にやるスタイルって、結構好きかも。
そんな大隅線の発着駅が、鹿児島県霧島市にある日豊線国分駅です。
なぜここまでこの駅名を覚えていたかというと、小学校時代に九州一周汽車旅行をしたことがありまして。
その前夜、わくわくしながら時刻表で駅名をたどっていたら、途中駅に国分駅というのがあり、件の大隅線とも分岐しています。
どんな開けた街なんだろう、と想像していたら、今はなき親父殿が、
『おう、国分じゃ。国分はタバコが有名よ。花は霧島〜、タバコは国分♬ちゅうてな。』
と、上機嫌でウンチクを語ってくれました。
1地方都市ながら、唄にもなっている『国分』の地名に、まだ見ぬ街並への旅情が掻き立てられたのを、覚えています。
そして次の日の夜、夜行急行『かいもん4号』に乗車したチビナベは、国分駅に到着。
しんとした駅構内には人は居ず、煌々と照らされる構内と、末端にはポツンと立った信号機や、暗い陰りのある南国の木々の茂み。
(ここが国分かあ)と、開けた客車の窓から風の匂いを嗅ぎながら、夜の風景を眺めていたように思います。
地図で辿った旅の風景。
あれから、数十年が経ちました。
が、あの夜行列車旅のことは、昨日のことのように思い出されます。
1964年度版国鉄路線図より。さあ国分駅はどこでしょう⭐️