2014-09-01

夏の思い出

 今年の夏も暑かったですね。皆さん、お元気に過ごされましたでしょうか。

今回は、年とともに忘れてしまう前の備忘録です。

独り言レベルですので、御容赦ください。

 

 小学4年の夏、母上さまに連れられて九州一周の汽車旅に行きました。

あねさまは水泳の大会で、オヤジ殿と熊本でしたから、ヒマそうにしていたチビなべを連れ出してくれたのでしょう。

 

 九州一周とはいっても子供心にそう感じただけであって、要は都城経由の日帰り宮崎ぐるり旅です。

それでも初めての大旅行です。

ディーゼルカーの窓を全開にして眺める日南の海岸線は、太陽がキラキラと輝いて、とても素晴らしい眺めで、沖に浮かぶ丸い浮きがイガグリ頭のように見えました。

もっとも幼少期には、これを見るたびに、近所のあんちゃんがまた今日も海に潜ってる、と勘違いしてたもんです。

 

 また記憶に残る風景としては、山間部の車窓から目を落とした木々のすきまに、美しいエメラルド色のゆったりとした渓谷が現れて、その美しさに魂消ました。

こんな美しい景色を間近に見たことがなかったので、すっかり大興奮で、その清廉たる美しさと深さに出会えたことに、子供ながらも、とても幸せな気持ちになったのを覚えています。

 

 列車は山の中の小さな踏切を通過しつつ、また眩しい夏の光の空気はとても清らかで、ブワンと警笛を鳴らしながら一路、西都城へ。

乗り換え地の西都城駅では、列車を降り、駅前ビルに入って、子供心に冷房の効いた贅沢なレストランで、母上さまと一緒にこれまた贅沢にもカレーを食べたのが、今も新鮮な懐かしい記憶として脳裏に残っています。

生涯の心の旅となりました。

 

 先日帰省した際、この思い出の旅をたどってみたく、列車に乗りました。

南宮崎 → 日南 → 志布志 → 西都城 → 南宮崎 という経路です。

が、すでに志布志→西都城間は廃止。

”九州一周の旅”は再現出来ませんでしたが、終着駅志布志までの懐かしい旅となりました。

 

 その日、曇り空に包まれた志布志の駅は、日南線最果ての終着の地となってすでに久しく、南宮崎駅からの直通列車は、今では2時間に1本です。

駅に降り立っても、すっかり再開発された人気のない駅前に、当時を偲ぶものは何もなく、母親の隣りで顔を出してたディーゼルの記憶を追想するものは見当たりませんでした。

 

 この当時を思い返すと、まず今と違うのは圧倒的に、どこへ行っても大人と子供で、宮崎中が溢れかえっていたことですね。

現在、人口自体は当時の倍になっているのですが、実感としては不思議になぜか人気のない、寂しい街になった気がします。

 

 バイパスも貫通し、飛躍的に便利になったはずなのですが、当時の道路渋滞や、非電化ゆえの脆弱な輸送力のローカル線。

ひどい時には、郵便列車にすら詰め込まれるといった不便にひしめいていた、昔の人々の温もりだけを、追憶として身勝手に求めているのでしょう。

 

 ただやはり当時を思い返すと、やはり懐かしい良い思い出ばかりで、キラキラしています。

家族の思い出、宮崎の思い出としては、18年間の隅々にいつも太陽が輝いていた、そのような感じです。

かの地を離れ、すっかり大人になった現在、関東に住んではいますが、じつは人生で一番夢が詰まっていたのは、あの18年間だったように思います。

 

 2014年、夏休みの日記、これにて終了。

今、外では鈴虫が鳴いています。

 

 皆さん、もうすぐ秋ですね。