ドライブシリーズ最終回。
このコーナーは、以前の一人旅を、回想風に勝手に述べさせていただいております。
第1回は、深夜の高速道路でのハイウェイラジオ、第2回は、子供の頃の田舎道での、ふとした忘れ物的なモノ。
今回は7、8年前の冬、大坂に車で行った時のお話です。
その時は日程的に余裕があったので、下の道を、しかも日本海まわりで移動していました。
その冬はわりと寒く、山間部はかなりの雪で条件が悪かったので、あまり距離が稼げず、福井の手前で夜になってしまいました。
半分迷ったような状況で、しかも回りの民家は早々に電気が消えてるし(田舎と熱海は夜が早い)、ハラは減ったがコンビニはないし、見知らぬ田舎町での、さみしい状況になってまいりました。
(これじゃあ、がんばって隣町まで行かんと、な~んもないかなあ)
と、ぼんやり考えながら、ふとラジオのスイッチを入れてみました。
すると、田舎のAM局は周波数が違うらしく、神奈川で合わせた局では、ビービーいうのみです。
仕方ないので、つまみをグルグルまわしておりますと、土地柄からか日本海方面、海の向こうの放送が不明瞭ながら聞こえてくるんですよ。
『ビ~。。。。チョイヤイサー、ハンチョロミーダ、アーコラ。。。ビービー。』
といった感じです。
なんかおっちゃんが、さかんに一人で喋りまくっていたんですが、韓国、北朝鮮、中国どれかでしょう。
でも、あの海を越えてやってきた大陸電波の、”はるか彼方感”というものが、深夜ということもあり、ビミョーにそそられました。
ああ、ここの周波数の隙間に、この放送は隠れてるんだな、などと考えながら、さらに回しておりますと、いきなりド演歌が流れてきました。
『カサブランカア~グッバイ~~~』
皆さんこの歌、御存じですか?あとで調べてみたら、鳥羽一郎の「カサブランカグッバイ」という曲でした。
これがまた、私の日本人としてのブラッドを、激しく刺激したんですな。
曲の内容は、男と女の辛い別れを、ハンフリーボガードの名作『カサブランカ』になぞらえて、”大人の別れは黙って別れる”的な、ハードボイルドな感覚です。
それを日本のオジチャンが、情緒たっぷりに歌い上げた「カサブランカグッバイ」は、ありがちな ”日本海” ”さみだれ” ”海峡” 的な、和風ものではなく、洋物ハードボイルド!
(おお、これはちょっとキザに、頑張りすぎやろ〜)と、何故か思わず、微笑ましく思いました。
でも、やはり演歌というのは、子供の頃から、日本人には馴染んでいるジャンルなので、スーッと心に入ってくるらしいです。
その後、時報前のニュースが流れてきましたが、AM電波のあのチープな響き。
いいですね。
AM電波特有の、ざらついた低音の響きが、疲れた頭と体に、心地よかったです。
あのニュースの合間に鳴らされるポン!というベルみたいなのも、昔ながらの響きで、とてもいいです。
なんてことのない、夜のひと時でしたが、日本海で聞いた演歌と、海の向こうの電波、そして、見知らぬ町で聞いた、昔のままのAMラジオニュース。
なぜか今も、旅路の果ての記憶として、鮮明に思い出されます。
皆様、3回シリーズの(そうだったのか)私のドライブの思い出。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
また皆様のドライブの思い出などもあったら、また是非お聞かせください。
では⭐️