『坂本(仮名)ですけど、渡辺(本名)さんですか?』
師走も差し迫ってきた12月の半ば、畳屋さんから電話がかかってきました。
『はい?』
『あのね、今ちょうどたっまたま一瞬ヒマな時期で、うちも職人を抱えているんでね。
1日2万も払ってゴロゴロさせとくのはもったいないから、今だけ!今だけお安くしときますから、この際張替えをしてはどうですか?
ほら、前に電話した時、ちょうど今は忙しい、年末とかになら、とかおっしゃってたから、ちょうどウチも今ヒマな時期で、昨年、一昨年が忙しかったの。
だもんで、今年は張替えのお客さんも落ち着いてるから職人が遊んじゃって、もったいないのよ。
で、支払いは来年の2月に払ってくれたらいいから、お得なお話でね、お電話したのよ。』
ウチの畳事情を、なぜこの人は知っているんだ?と、思いました。
が、そういえば以前、この人らしき人から同じようなセールスの電話がかかってきて、そん時は畳の張替えについて話し込んだ気がするなあ。
『 あー、たしかに畳はひどいんですけどね。ちょっと、壁とか片付けとかの方が先かなと思ってるんで、ちょっと畳にまで今は手が回らないかなあ。』
なんて、生返事したら、
『あらっ!こないだもそうやって、リフォームするから、て言ってたわよね!!
渡辺さんはそんなにしょっちゅうリフォームばっかりしてるの!?』
と、いきなり、夜叉のような声に豹変しました。
『あー、そうでしたかね。いやあ、なかなか物が多いもんで、進まなくでね。畳も気になってはいるんだけど。』
と、正直に答えはしたんですが、
『今年の6月に電話した時もそうやって、リフォームするからいまはダメ、って言ってたから、暮れに電話しますねー、ていうことで今電話したのよ。
いつまでリフォームしてるの?自分でしてるの?今日はお休みなの?』
とまあ、ぐいぐい畳み掛けてきて(畳屋だけに)、生半可な答えすると、貴様の首根っこを引っこ抜いてやる、とばかりの剣幕!
すごい展開になってきました。
『いやー、だから壁紙もね、やんなくちゃだし、、』
『自分でなんでもやってるの?』
『うんまあそうかな。いちいち頼んでたらお金いくらあっても足りないんで。』
『ふーん、でも畳はね、大体のお客さんが表替えだけで済むから安くできるし、今やっといた方がいいわよ。
ねー、やっちゃいましょうよ。渡辺さんは何にもしなくていい。
その日のうちに職人が来て全部終わるから。それに今、安いし。』
と、これまたなかなかしつこい。
『うーん、でもひとつ問題があって。
ウチ、畳の上にいろんなモノを置きすぎているんで、畳に到達する前に、そいつらをまずどかさなきゃなんなくて。
そうなると、もう引っ越しレベルの話になるからー。だから、こっちでその段取りが出来た時に、そっちに連絡するパターンが一番確実かなあ。』
と、そう言った途端に、なんかプチッて切れたような音が聞こえた気がして、
『あーそう、じゃあもう渡辺さんは、ご近所の畳屋でお好きな時にやったらいいんじゃない?』
なんて、ギスギスした物言いになってきました。
『はあ、、じゃあ、まあそうすることに、、、』
ブチッ、ツー、ツー、ツー あれ?、切れた。
検証。。。この人は何を失敗したんでしょう。ニーズはあるのに(ほんとに?)
答え、、、ハートがなかった(えっらそうに~)
そう、このケースでいくと、こちらに需要があって、ただタイミングが合わない、というだけだから、そういうお客さんとは、軽く世間話でもして、
『じゃあ、また何回かかけますけど、ご準備ができたら、その時に言ってくださいね。
ここまでお話しさせてもらってるから、その時がきたら、他よりもちーゃんと、お安くさせる用意で、いろいろさせてもらいますから。よかったら声かけてくださいね』(模範解答)
といえば、こちらもちょっと親しくなった経緯で、イザ畳替えの時には、そこを頼りとすると思います。
やっぱり一見さんより、顔見知りが安心なのは、消費者の側もそうです。
そう言った心理の先読み、ができる人が、営業には向いているのかもですね。
残念ながら、貴女は将来の上顧客(?)を失いました。(キレられて悔しいから言い返し)
と、年末セールスウーマン逆ギレ事件でしたが、実は不思議と腹も立たず、ああなるほどなー、と思いました。
何事もハートを込めて。ということが大事!みたいです。
みなさま、今年一年も大変お世話になりました。
あとわずかとなりましたが、また来年も良い年になりますように。
心を込めて、どうぞ皆様の一年がすばらしい一年になりますように。
⭐️良いお年を⭐