2016-12-15

年末は穏やかに

 『坂本(仮名)ですけど、渡辺(本名)さんですか?』 

師走も差し迫ってきた12月の半ば、畳屋さんから電話がかかってきました。

 

 『はい?』

『あのね、今ちょうどたっまたま一瞬ヒマな時期で、うちも職人を抱えているんでね。

1日2万も払ってゴロゴロさせとくのはもったいないから、今だけ!今だけお安くしときますから、この際張替えをしてはどうですか?

ほら、前に電話した時、ちょうど今は忙しい、年末とかになら、とかおっしゃってたから、ちょうどウチも今ヒマな時期で、昨年、一昨年が忙しかったの。

だもんで、今年は張替えのお客さんも落ち着いてるから職人が遊んじゃって、もったいないのよ。

で、支払いは来年の2月に払ってくれたらいいから、お得なお話でね、お電話したのよ。』

 

 ウチの畳事情を、なぜこの人は知っているんだ?と、思いました。

が、そういえば以前、この人らしき人から同じようなセールスの電話がかかってきて、そん時は畳の張替えについて話し込んだ気がするなあ。

 

 『 あー、たしかに畳はひどいんですけどね。ちょっと、壁とか片付けとかの方が先かなと思ってるんで、ちょっと畳にまで今は手が回らないかなあ。』

なんて、生返事したら、

『あらっ!こないだもそうやって、リフォームするから、て言ってたわよね!!

渡辺さんはそんなにしょっちゅうリフォームばっかりしてるの!?』

と、いきなり、夜叉のような声に豹変しました。

 

 『あー、そうでしたかね。いやあ、なかなか物が多いもんで、進まなくでね。畳も気になってはいるんだけど。』

と、正直に答えはしたんですが、

『今年の6月に電話した時もそうやって、リフォームするからいまはダメ、って言ってたから、暮れに電話しますねー、ていうことで今電話したのよ。

いつまでリフォームしてるの?自分でしてるの?今日はお休みなの?』

とまあ、ぐいぐい畳み掛けてきて(畳屋だけに)、生半可な答えすると、貴様の首根っこを引っこ抜いてやる、とばかりの剣幕!

すごい展開になってきました。

 

 『いやー、だから壁紙もね、やんなくちゃだし、、』

『自分でなんでもやってるの?』

『うんまあそうかな。いちいち頼んでたらお金いくらあっても足りないんで。』

『ふーん、でも畳はね、大体のお客さんが表替えだけで済むから安くできるし、今やっといた方がいいわよ。

ねー、やっちゃいましょうよ。渡辺さんは何にもしなくていい。

その日のうちに職人が来て全部終わるから。それに今、安いし。』

と、これまたなかなかしつこい。

 

 『うーん、でもひとつ問題があって。

ウチ、畳の上にいろんなモノを置きすぎているんで、畳に到達する前に、そいつらをまずどかさなきゃなんなくて。

そうなると、もう引っ越しレベルの話になるからー。だから、こっちでその段取りが出来た時に、そっちに連絡するパターンが一番確実かなあ。』

 と、そう言った途端に、なんかプチッて切れたような音が聞こえた気がして、

『あーそう、じゃあもう渡辺さんは、ご近所の畳屋でお好きな時にやったらいいんじゃない?』

なんて、ギスギスした物言いになってきました。

『はあ、、じゃあ、まあそうすることに、、、』 

ブチッ、ツー、ツー、ツー あれ?、切れた。

 

 検証。。。この人は何を失敗したんでしょう。ニーズはあるのに(ほんとに?) 

答え、、、ハートがなかった(えっらそうに~) 

 

 そう、このケースでいくと、こちらに需要があって、ただタイミングが合わない、というだけだから、そういうお客さんとは、軽く世間話でもして、

『じゃあ、また何回かかけますけど、ご準備ができたら、その時に言ってくださいね。

ここまでお話しさせてもらってるから、その時がきたら、他よりもちーゃんと、お安くさせる用意で、いろいろさせてもらいますから。よかったら声かけてくださいね』(模範解答)

といえば、こちらもちょっと親しくなった経緯で、イザ畳替えの時には、そこを頼りとすると思います。

やっぱり一見さんより、顔見知りが安心なのは、消費者の側もそうです。

そう言った心理の先読み、ができる人が、営業には向いているのかもですね。

残念ながら、貴女は将来の上顧客(?)を失いました。(キレられて悔しいから言い返し)

 

 と、年末セールスウーマン逆ギレ事件でしたが、実は不思議と腹も立たず、ああなるほどなー、と思いました。 

何事もハートを込めて。ということが大事!みたいです。

 

 みなさま、今年一年も大変お世話になりました。

あとわずかとなりましたが、また来年も良い年になりますように。

心を込めて、どうぞ皆様の一年がすばらしい一年になりますように。

 

 ⭐️良いお年を⭐