2004-04-15

悪事

 前々回の、” 鬼教師と少年 ” の続編ではないんですが、小3で必殺鬼教師に当ったわたしは、小4で今度は必殺!これぞ教師の鑑先生に当りました。

 

その先生の名は押村誠一(仮名)先生。

なにがすごいか、それは、子供に勉強することの楽しさを、伝える名人でございました。

本来、知らないことを学ぶのが勉強ですよね。

もともと楽しかるべきモノを、本当にたのしいな~!と感じさせてくれる先生でした。

 

 休み時間になると、生徒が列を作って、自発的にやってきた宿題を押村先生にみてもらう為に、クラス内の先生の机に殺到してました。

また先生が、

『おお、これは~』

とか言いながらホメてくれるんだなー。

 

 決して優しい先生ではなく、怒る時はこれまたデカイ声で怒るので、それはそれで子供には強烈なんだけど、追い詰めるだけの怒り方ではなく、気づかなかったことをちゃんと指摘してくれる怒り方なので、こちらは心が漂流しなくてすむ訳です。

心に残っているエピソードはたくさんありますが、今回は羊羹のお話しを、、、

 

 ある日の算数の授業。

この日はクラス全体のノリが悪く、こんな時は先生も、逆にビシバシと授業されるのですが(この当時にめずらしく、この先生は体罰はされませんでした。先生の武器はあくまでデカイ声)、この日はな~んかそう、厳しくないんですね。

 

 そして急に、何を思ったのか

『みんなも教科書にのっちょる絵の羊羹じゃったら、数もようわからんちゃろ。

じゃったら、ちょっと角屋に行って、羊羹買ってこんか!』

とおっしゃいました。

 

 クラス全員ポカ~ン。

全員(何、言うちょっちゃろ、先生。)思いました。

でも先生は、にこにこ大まじめで、2.3人指名して、お金を持たせて買いに行かせました。

 

 もうだんだんクラス全体が、わけのわからない事態にフィーバーしてきまして、結局その日の算数の授業はメチャメチャでしたが、給食時間にはちゃんと、クラスの人数分買い足した羊羹が出てきまして、量は少しだったけど、学校で食べる先生公認のおやつは、世界一美味しかったです。

 

 そういう日は、後にも先にも、この日だけでしたが、授業中に先生に隠れてではなく、先生と一緒にこうやって、悪いことをしたのは、小中高通じても、この日だけでした。

 

 先生、あの日は一体どんげしたっちゃろか?と、それからもず~っとあの羊羹は謎でしたが、ある時判りましたね。

あの機嫌の良さと大盤振る舞い。きっと先生も茶目っ気が出たんだと思います。

そういうソフトな所がありましたから、押村先生。

 

 時期的には、あの日は公務員のボーナスの日でしたね~、マコトチャン。