2016-09-15

感性

 みなさんこんちは。

お元気ですか?楽しく過ごせていますか。

 

 ようやく暑い夏が過ぎ去ってくれたようで、夜になると鈴虫がスズ、スズ、と。コオロギがコオロ、コオロと鳴いています。

風情がありますね。

そういう風情をじっくりと楽しむ心の余裕のないままに、月日の過ぎ去るのがふととても、もったいない、もったいなーい、と思ったある秋の夜。

それはふと昔の国語の教科書に載っていた、小説を思い出したからでした。

 

 内容はよくは覚えていないので、ディテールは適当なんですが、ある少年(主人公・小学高学年~中学生くらいか)が、夏に海沿いのある田舎で過ごしていたところ、そこである姉弟と仲良くなりました。 

お姉さんはちょっと年上、弟くんはまだまだ幼く、ほとんど毎日のように会ってはお話をし、夏のひとときを共に遊び、とても親密になったはいいのだが、お姉さんの方は先に家に帰らなくてはならず、ある日、少年にお別れを言い、住む街に戻っていきました。

そして、その少年の淡い恋は終わりとなった。

 

 でも、その少年の元には、まだ学校の始まらない彼女の弟が残っていて、主人公の少年は、毎日その弟君と会っては、とりとめのないお話をして、残りの夏休みを過ごしました。

 

 さて、ここで問題です! 

なぜその主人公の少年は、彼女が去っていった後に、毎日のように彼女の弟君と、日がなお話をして過ごしたのでしょう。

 

 そう、その国語の時間に、コナベは、まさにそう質問されたのです。

担任の先生、、書いてたら思い出した。

これ、小5の時の授業の話だわ。

名前忘れちゃったけど、女性の担任の先生で、クラス会で

『シクラメンの香り』

を歌って、女子はうっとり、男子はとても困った、あの先生だ(親しい先生が急にしっとり歌い始めたから、男子はびっくりしたのです)。

 

 答えわかりましたか? 

解った方は、ホント素晴らしい感性の方だと思います。

小5の僕は判りませんでした。多分、

『タイクツだったから、、、』

とでも、答えたような気がしますが、担任の先生はちょっと笑いながら、

担『姉弟じゃがね!』 

小5ナベ『?』 

担『ホラ、一緒じゃがね!』

小5ナベ『???』 

担『顔が似ちょるでしょうが!』 

小5ナベ(なあ~なあ~、るホド!!!!)

 

 もうなんか、超感動しすぎて、とても切なくなりましたね! 

好きだったお姉さんの面影を求めて、その弟君の顔を眺めながら、毎日想いを馳せる初恋少年。

でも彼女のいないその場所なのに、その弟君に会えるだけでも心から幸せだったんだろうなあ、と。

淡い想いだからこそ、いつまでも消えずに。陽炎のようにこころの網膜に焼き付いて離れない、淡い想いを描いたお話だったようです。

 

 イントロの、もったいない、もったいなーい、はこういうこころの感性を忘れて、なんとなく生きている自分が、とても非常にもったいなーい!!!と改めて感じたんです。

いや、前進することはいいんです。

忘れたくないことをいつしか忘れて生きることが、勿体無いと思ったのです。

振り返って立ち止まってみること、を忘れたくないと思った、月が時折り翳る、晩夏の夜のお話でした。

 

 でも、この小説、思い出してみて改めて、感動しました。

こんなことが書けるなんて、この作家は素晴らしい。

これが誰だか、どなたか知りませんか?

その小説、わたしも授業で見たことあるという方、ご一報を。