こないだ、仕事の合間にちょっと建物を出てみました。
外の空気を吸いに出た夕暮れの街は、空気が沈んでちょっと磯の匂いが混じった、懐かしい匂いがしました。
子供の頃、家の近くにあるスーパーマーケットから外に出てみると、いつも、この不思議な匂いがしていましたね。
大地の香りというか、あるいは島国である日本特有の薫りなのかも知れません。
この匂いには、やはり昭和の面影をいつも感じます。
その頃はいつもまわりには大きな大人がいました。
大人同士ではマアいろいろあったのでしょうが、子供目線からは一様に皆頼もしい大人、おじちゃん、おばちゃん達でした。
大人達は、いつもズカズカと勝手に家に入り込んでは、
『おかあさんはおらんとね?』
『うん、今買い物いっちょる』
『んじゃ、待っちょくわ』
と言って、冷蔵庫の牛乳をグビグビ飲み干しては、機関銃のように世間話を始め、グイグイ押されに押されて、これにはかなり閉口しました。
またある大風の日。
子供心にも家が吹っ飛ぶんではないか、と思うほど家全体が揺れに揺れる中、おやじどのが仕事疲れでグーグー寝てるのを見て、
(ああ、お父さんが、こうして寝てるんだから、きっと大丈夫だ)
と、自分に言い聞かせた思い出もあります。
以前にも書きましたが、田舎道でバスに乗ろうとした時、所持金が200円くらいしかない事に気付き
『すいません、宮崎までいくらですか』
と、運転手さんに訊いたところ
『いくら持っちょっとね』
『、、、200円』
『じゃ、それでいいが』
と言って、宮崎まで乗せてくれた、宮交バスの運転手。
多分450円くらいの長距離だったです。
降り際に
『ありがとうございました』
と言ったら
『ン』
と、小さく返答してくれたのを、とても有り難かったなーと、今でも感謝しています。
昨日、父の日で実家に電話したところ、オヤジ殿が
『今度順一兄ちゃんが帰って来たら、いろんな事をしてもらいたいとよねー』
と、言っていました。
さすがに高齢なので、体力的にいろいろと出来ないようです。
ささやかな親孝行の出番で、とても嬉しいのですが、ふと、自分が子供の頃に感じていた
(頼もしい大人)
まさに、あれに今自分があてはまっているんだな、と考えた時、自分はあんな風にさりげなくカッコいいか?と首をひねってしまいました。
40年前と同じ、昭和の匂いを嗅ぎながら、昭和のおじちゃん達に近づくにはまだまだ修行が足りんなあ、と感じた初夏の夕暮れでした。
梅雨なのかなんなのか、関東地方ではよく解らない天気が続きます。
皆さん体調には、くれぐれも気をつけてお過ごしください。