2011-04-01

最初と最後だけ

 以前、部下に嫌われる上司はよく自慢話をするから、とかいう話をしました。

先日、寒風吹きすさぶ高速道路のパーキングエリアで、これをされてしまいました。

 

 輸入バイクがようやくナンバー登録出来たので、試運転でおなじみのパーキングエリアに夜走りに行きました。

で、到着したら、どこからともなくおじさんが近寄ってきて、

「へー、珍しいね。CB。」 

なんて、、言うもんだから嬉しくなっちゃって、

「お、ご存知ですか。なかなかお詳しいですね。このCBは、レアなんで皆さん知らないんですよ。」

と答えました。

 

 このバイクの話がいろいろ出来るのかな、と一瞬ワクワクしたんですが、オジサンはサイドカバーのCB750の文字をどうやら読んだだけみたいで、それから、

「オレも、昔は良くゼッツー乗って富士に行ったよ。」

と全然関係のない話を始め、

「孫に今のバイクを譲りたいんだけど、まだ3歳だからオレが長生きしないとなー」とか、

「メグロ見た事ねーだろ、オレ昔あれに乗ってたんだよ」

とか、えんえん見ず知らずの半生を、聞かされるハメになりました。

 

 うあーしまったー、捕まっちまった、、、と、思いつつも、あまりにもオジサンが止まらないので、

(OLに嫌われるのはこれだよー、自慢話、、、)

とかぼんやり考えていたら、横からなんともう一人、ひょこひょことやって来るではありませんか!!

 

 うあー、しまったー、まだコーヒーにもありつけてないのに。

この状況は痛いなあー、今何時? と思い時計を見たら、何とピンポンパンポン、1時間経過、1時間経過! です。

 

 道理でさっきから、なんだか体調がすぐれなくなってきてるのかーと思いながら、2人目を迎えました。

 

 この2人目も、

「富士は気圧が低いから、大型バイクでも馬力がかなり落ちます。」

と淡々と話し始め、しばらく1人目と話の主導権争いを演じ、2人目の方がどうやら知識がしっかりしていたので、1人目は戦いに負け脱落。 

 

 いつのまにか夜の闇に消え、今度は2人目が、

(北海道は広い!)の話から、

(戦闘機のエンジン、ゼロ戦がどうの)とか、

(隼が戦後アメリカのガソリンで飛ばしたらとんでもなく優秀だった)とか。

もうぜんぜん、訳分かんなくなってきてしまいました。

 

 結局、2人目も一時間経過、一時間経過!!でようやく話し疲れて、でも最後に

「CBはいいバイクです。大切に乗ってあげてください。ニコッ。」

と、爽やかに微笑んで、自分のマシンにまたがり、夜の闇に去っていきました。

 

 パーキング到着から2時間が過ぎ、2人が去った後の、寒風吹きすさぶ深夜の人気のない駐車場。

 

、ポツンと残された私とバイクは、すっかり冷えきってしまい、しばし放心状態でなにもできませんでした。