時代時代によって、流行り廃りがあります。
音楽では、子供心に感じたのは、白黒テレビから流れて来るCMソングなどは、ジェントルな雰囲気のものが多かったように思えます。
大人のかっこよさとでも言いましょうか、わきまえた魅力、などがあったように思えます。
70年代もその流れなんですが、アメリカのヒッピー文化と日本の下町文化が融合して、ちょっとヤング台頭といった感じの流れですか。
グループサウンズが流行りだして、当時『ガロ』を聴いていた、隣のお姉ちゃんが、やたら大人に見えたもんです。
80年代は私的には青春時代ですから、久米宏の『ザ・ベストテン!』から流れてくる ” Jポップ ” に酔いしれていましたね。
当時好きだった歌手に、町田義人という歌手がいます。
ご存知の方は少ないでしょうが、声は聞いたことがあると思います。
この人は、映画『キタキツネ物語』のサントラを歌った人で、薬師丸ひろ子ちゃんの映画『野生の証明』の主題歌、「戦士の休息」の唄の人です。
最近この方の声を、全く聴かないのでこないだ、ちょっと調べてみたところ、もうすでに歌は辞められているそうでした。
ふっと気付いたら、その人は、もうそこにはいなかった、みたいな衝撃でした。
現在は、陶芸家として新たな人生を歩まれ、日本の芸能界には、全く未練がないそうです。
野性的な響きの中にも、どことなく儚げな繊細さを感じさせる独特の歌声は、ひとすじの美しい日本刀を見ているような、不思議な魅力がありました。
この人の燃え尽き方は、とても真似出来ないなあ、と思いました。
そして今更ながら、日本の音楽業界からこの人が去ったことは、自分にとって青春時代そのものが、終わったように感じさせる、ひとつの出来事でした。
短い人生でしょうが、いろいろな人生がありますね。