こないだ朝、家で起きぬけに電話が鳴りました。
ガチャ
「おはようございます。ハウスクリーニングの~~~と申します。
ただいま実は、キャンペーンの一環といたしまして、通常料金2万7千円の布団やカーペット、あるいはカーテンといった、普通はですね、一般の方がお掃除されても、実際はかなりのダニやハウスダストといった、目に見えないアレルギーやアトピーといった、病気の元になるものを、根本からクリーニングする当社の専門職人によります、ハウスクリーニングをですね、これ通常料金が、2万7千円するんですが、これを今回、お客様だけの特別キャンペーンといたしまして、特別に3千円のみで、この~ハウスクリーニングさせて頂くというですね、今の時期、だんだんとハウスダストとか、普通にお掃除するだけじゃ、決してきれいにできないものだけではなくて、湿気もひどくなると、カビとか~~~」
このあと、当社の最新マイクロなんとか式の説明に入り、当社がテレビでご存じの、あの画期的なクリーニング会社であることの説明のあと、現代病のなんと6割がダニ、カビといったものに起因することを(ウッソダ~)切れ目なく話してくれて、ようやく、
「ご主人ですか?」
と、きました。
みなさんなら、どうします?
普通なら、私でも始めの1、2行を聞いた時点で
「あ、間に合ってますからいいです。」
と断わるのですが、起き抜けで抵抗力がなかったもんですから、マニュアルを全部聞いちまいました。
そうすると、妙にまったりしてしまって、
「いやあ~、勝手にサインすると、息子の嫁に、怒鳴られるんですわー」
と訳のわかんない事を、つい言ってしまいました。
むこうも、アラッこれは変だわ?という感じで、とまどっているみたいでした。それでも
「なら奥さん、いらっしゃいますか」
と、きたから
「いま孫を幼稚園につれて行っとります、孫に会いにきたんですけど、会わせてもらえんのですわ」
と、こっちも面白くなってきたところ、
「じゃあ、奥さんにお伝えしてもらえますか?」
となかなか食い下がります。
「いや、電話に出るな、言われとるから、バレたらもう怖いんですよ。息子がおらんとこで、いろいろ言われるんですわ。怖いんですわ」
この辺りで、完全にイビられ役のオジイちゃんっぽく、ヨイヨイのあわれを誘う語りモードに着地しています。
「あらーしょうがないわねー。息子さんのお嫁さん、キツイかも知れないけど、おジイちゃんでしょ?バーンと言えないの?」
「そんげなこつ言ったら、灰皿投げよりますよ。もうかんべんしてください~。ほんま、あの嫁ばっかりは恐ろしいんですよ」
もう半泣きっぽい感じ。
そこらで、向こうもようやく、埒が開かないと察したか、
「しょうがないわね~」
と、捨て台詞を残し、なんとそのまま電話が切れました。
あ~面白かった。