だんだんと大阪に近づいてきました。
米原駅でたっぷりと寝たので、この日はかなりパワフルな勢いで、一路大坂を目指します。
路面はこの5日間の中で、もっとも最悪なコンディションで、昨日の降雪でびちゃびちゃです。
でもよく頑張ってくれたよなあ、チャリンコ君。
この自転車のグレードは、なんの変哲もない、ただの6段変速の通学用の自転車なので、本来は自宅から半径20Km以上の範囲は、テリトリー外なんです。
苦労をかけるよなー。
でもとりあえず、宮崎までようやく1/3の距離を、走破しました。
夕方にようやく、大坂の枚方に着くと、その日は、高校時代の友人が入っている学生寮に泊めてもらおうと、勝手に決めてました。
が、な、なんと友人はさっさと里帰りして、もぬけの殻。
でも若い時代の友達とは、実にいいものです。
その学生寮には、一人だけまだ田舎に帰らず、くすぶっていたヤツがいて、そいつがフラ?と、廊下に出てきました。
「おう、渡辺やないか。どないしたん?」
「いやあ、かくかくしかじか~」
「ああ、ほんまか。ならウチ泊まっていくか?」
いやあ、拾う神アリですね。
すっかり落胆していたので、思わずそいつの胸に飛び込んで、泣いてしまいそうでしたよ。
でもそれをしたら、泊めてくれなかったでしょうな。
結局、そいつの男気のおかげで、すっかり里心がつき、一泊のつもりが、ずうずうしくも3日も泊まっちまいました。
しかも金がないので、晩飯の出前一丁も、そいつの貴重なストックからわけてもらい、しかもそのまま食おうとしたら、
「ちょっと、待ちいや。野菜入れへんかったらウマないで~。」
と、そいつが自ら野菜を炒めてくれ、実にリッチな食事に、ありつくことができました。
たった3日と、ただのインスタントラーメンでしたが、彼は、わたしの一生の中で、忘れることのできない人です。
若い頃のこういうのって、なんかデカイんだよなあ。
拓、元気にしてるかなー?