2010-02-15

精度

 先日、毎朝ピーピー賑やかにベランダを行き来していた、居候の親子も無事に巣立ちを完了し、またまた平和な日々が戻ってきました。

そういえば、長期入院中だったバイクも、ようやく退院してまいりました。

 

 今回の修理は、もう胃が痛くなりそうでした。

何故なら、古いバイクなので、部品の欠品に直面。

で、なにもせず放置、という状態で3週間ほったらかしでした。

ディーラーなのに。

どうするつもりだったんだろう?

 

 

 欠品パーツは、加速ポンプという部品で、金属の棒の先にゴムの円盤のついたパーツです。

ホームセンターで棒とゴムシートを買ってきたら、作れそうな代物なんですよね。

 

 でもよく考えたら、純正品のパーツというのは、

ガソリンに充分な耐久性があり、

かつ伸縮性を、数十年持続させ、

エンジンの高温や真冬の極寒にも耐え、

寸分違わない寸法で、接合部からガソリンが漏れないよう、

かつ雨水が侵入しないよう、シールゴムの役割、

もする訳です。

すごいですね。さりげなく。

 

 手のひらに収まる小さなパーツですが、そこには計算され尽くした、スゴい人知の結晶が詰まっているわけで、プロの修理エンジニアが、途方に暮れるのも、仕方ない面はあります。

ましてや、素人がホームセンターで、針金買ってきて作るとかいうのは、もう論外。

まさに恐るべし、純正品の欠品です。

 

 ところが、捨てる神あれば拾う神あり、とはよく言ったもので、ワラ掴みでネットサーフィンしてたら、ありました!

こういう旧車部品を、純正品のクオリティで作っていて、しかも今回の加速ポンプの類いを、新品でストックしてあるとこが。

それは、大阪の下町にある小さな町工場でした。

 

 もうすがる気持ちで電話したら、いかにも関西の職人の、愛想のないおやっさんが出ました。

おやっさんが一言

「シャフト何ミリ?」

と聞いてきたので

「45ミリです。」

と答えたら

「あぁ、なら品が確定できますから在庫ありますし、今から送りますから、明日には着きますよ。」

と、サラッと言ってくれました。

 

 うー、もう超カッコ良かった、大阪の職人!!

メーカーも修理工場も見放した修理品を、いともカンタンにさらりと、

「あぁ、ならウチにありますからお分けしますよ」

と言ってくれる頼もしさ!

しかも仕事が早い!

 

このバイクを買う時、バイク屋さんに、

「加速ポンプだけは、やられたらホントもう、どうしょうもないです。」

 

と宣言されてたので、なんとか大阪の町工場の阪神満塁ホームランで、ギリギリ事なきを得ました。

 

 翌日、到着した部品を持ってホンダに行き、早速パーツをはめ込んでみると、なんと超ピッタリ!!

ホンダの工場長も、

『そんなとこがあるんですね。』

と、ビックリしてました。

 

 いやいや大阪の職人さん、どんだけこだわるねん、て感じです。

おかげで、ようやくバイクらしくなったCB650LCが、無事、私の元に戻ってきました。

 

 職人さんは、愛想ないけど、やる仕事は本当にすごいですね。

きっちりというか、バッチリというか、もうパーフェクト。

今回は、町工場の凄さの一端にふれた、修理騒ぎでした。