2020-11-15

先生も人間

 ちょっとした話なんですが、私もスクールの講師業をやってる関係で、なんか身につまされるというか、先生先生といっても、結局は人間なんだ、というか。

まあよく言えば、心温まる(まではいかないか)話。

率直に言えば、先生業は他人様から先生と呼ばれるが故に、人間としてのまともな判断を狂わせられる、ある種危険な職業だなと。

 

 とある地方の高校で、生徒全員から恐れられている、とても厳しい先生がいました。

厳しいとは言っても、生徒たちをしっかり指導する観点からは、他の先生からも父兄からも一目も二目も置かれ、絶大な信頼を寄せられている、超ベテラン先生らしいのですが。

 

 授業の中では、先生の目から見て、何かが足りなかったら、即座に生徒たちを注目させます。
先生『はい、正座』  

生徒『シーン・・』 

先生 ・・沈黙・・  

生徒『シーン・・(かなり気まずい)』 

その間、生徒は何が足りないのかを自問し、それを探るために、あれこれ考えるそうで。

で、

先生『・・気合が足りない・・』

生徒『ハイッ!』

先生『・・もっと大きく!!・・』

生徒『ハイッ!

男子も女子も、結構気を(体力も)使うそうです。

 

 そんな、チョ〜厳しい先生らしいのですが、その厳しい先生にサブでついている、同僚のベテラン男性教師は、逆に物柔らかい先生。

で、なかなか生徒に人望があるようで、色々とこぼれ話をしてくれるそうです。

 

 で、その優しい男性教員が、ついこぼれ話的につぶやいたらしいのですが、ある時、職員室でスパルタ先生が、そのサブ男性教員に

スパ『どうも生徒のなかに、俺をジーッと見る女子がいてなあ。』 サブ『え〜、そうなんですかあ?(信じられない!)』

スパ『ほんとほんと。いつでも、俺のことをジーッと見てるんだな。』 

サブ『どの子ですか?』

スパ『(生徒名簿を広げながら)この子、この子!』 

サブ『あー、結構可愛らしい子ですね。』

スパ『そうなんだよ!いったい何なんだろう(嬉々)』  

サブ『、、、、、』

スパ『なんか俺に言いたいことでもあるんかな(爆嬉々)』  

サブ『ただ怖いからじゃないですかあ?』

スパ『え〜ッ、そうかなあ、なんかいっつも俺が行くと、ジイーて熱いような視線、そう、なんか熱い視線なんよ。』
サブ先生『   ・・ため息・・    』

 

サブ『先生は厳しいから、生徒からしたら、ただただ怖いんだと思います』
スパ『、、、、?』

サブ『少なくとも、ラブとかライクとかじゃあ、絶対にないと思いますよ〜』

スパ『え〜ッッ(抗議の目)』

 

 ちなみにスパルタ先生は、御年60歳近く。

高校生は基本的に御年15〜18歳。
この先生は、いったい生徒に何を期待していたのでしょうか?

 

 いやあ、今回のお話はなかなか恐ろしいような、哀れなような、物悲しいようなお話でしたね。

私もくれぐれも、生徒さんからみかんとか貰ったりしても、勘違いしないよう気をつけて生きてゆきたい、と肝に命じた晩秋の休日でした。