2020-09-01

金鳥の夏

 早いものですね〜。今年は超早い!! 

私の内部宇宙的には、まだ7月上旬な感じで、

これからサア、夏休みが始まるぞ!祭りだ、花火だ!いよいよ夏本番!! 

という流れなのですが、、、

 

 あれほど長かった梅雨の長雨も、激ヤバに蒸し暑かった熱帯気温な日々も、すっかり終わってもう秋が始まる雰囲気です。

でもやっぱり気分はまだ1年の中盤くらいで、何でかというと、それはやり残したことが多すぎるからな気がします。

 

 先日、屋外作業用に携帯用蚊取り線香を買いました。

何十年ぶりでしょうか。 

思い返すと小学生の頃、夕方の蚊取り線香の着火作業が、私の重要任務でした。 

宮崎の家の裏は、草木が生い茂っている藪的な庭で、裏の戸板の開け閉めをどんなに素早くしても、黒白のヤブ蚊が紛れ込んできます。

 

 今の家には蚊帳(かや)とかはないでしょうね。というか今の子供達は、蚊帳を知っているのだろうか? 

うちでは、6畳の畳部屋に家族が寝ていたので(バーチャンは2階だったかな)、夏は必ず部屋の四隅の釘に蚊帳を吊って、中に入る時には、蚊帳のネットをブンブン振って蚊を追い払い、シャッと素早く入り込んでいたものです。

 

 それでもたまーにヤブ蚊が入り込んで、寝入り端にかすかなプーンという羽音が聞こえてくるんです。 

目が一気に覚めて、あ”〜〜〜っめんどくせえ〜となりますねー。

まあ、たいていは親父殿がパチッと退治してくれるんですが、親父さんの撃墜率は実はそう高くなく、朝起きてみるとパンパンに血ぶくれしたやつが、蚊帳にしがみついてるのをよく見ました。

 

 そして時代は移り行き、渡辺家ではいつしか蚊帳を吊ることもなくなり、金鳥蚊取り線香はベープにその座を追われ、ベープもいつしかアースノーマットに取って代わり、夏の匂いは、大日本除虫菊の蚊取り線香から、ほのかなフローラルな薬剤の匂いになりました。

 

 それでも今なお、着火式の蚊取り線香は健在で、あれ昔からそうなんですが、アースの蚊取り線香の方がかなり安いんです。金鳥は割高。 

そう、でもあの懐かしいCM、

『金鳥の夏、日本の夏(バリバリバリと浮かび上がる金鳥文字の花火)』

 

 やはりあれが、私には心のルーツです。

アース渦巻きなんか、アースーズ巻き、とばっかり、誤認識してましたから。

アースーという練りものを、簀巻きに巻いたもんなんだろうと。

 

 久しぶりに点けてみた、金鳥蚊取り線香。

やはり、そこには懐かしい日本の夏の、遠い香りがありました。

 

 やはり私には、金鳥の夏がしっくりくる。 

ようやくすこーしだけ、夏を夏らしく過ごせた気分になれました。