日立パディスコ。ラジカセのお話です。
ちょっと前に日記に書いたような気がしますが、、、中学生になってステレオというものに何故か憧れ、さすがにステレオは手に入らないけど、ラジカセなら頑張れば手に入る、と、もうのめり込んだ時期がありました。
ナナハンには乗れないけど、原付なら頑張れば、みたいな。
それでも当時価格¥44800ー。
結構なお値段です。これでもシリーズのベーシックモデル。
針のインジケータ付きで、つまみやボタンが3〜4個付いていて、カタログを見るともうワクワクな世界です。
これよりグレードの高いのはインジケーターが2個になり、つまみが5個になりアンテナが増えて¥62800ーとかで、もうありえない金額。
中学生にはとても手の出ない高額なお買い物です。
でも¥44800ーならば、と頑張って手に入れた、日立パディスコ5280。
当時はヘッドホンを買う余裕がなかったので、ラジカセに頭を突っ込むようにして、下敷き2枚を左右の耳の後ろに当てて、上から布団をかぶって、よく音楽を聴いていました。(前にも書いたね。変態音楽鑑賞法です)
大脱走、荒野の7人、ビートルズのイエスタデイ、スターウォーズのテーマ、刑事コロンボのテーマ、、、
この聴き方で聴くと、残響音も全てクリアーに聴こえて、臨場感がハンパないんですね。
いやー、マジ子供って色々なことを考えつくもんですね。
先日、その懐かしの日立パディスコ5280の実働品が、なんとオークションに出品されていました!超ビックリですよ!
ラジカセ人気が静かに再燃しているのは以前書きましたが、昔流行った人気のダブルカセットとか、当時売れに売れた高級ラジカセとかは、よく出品されているのですね〜。
でも、カセット部が動かなかったり、電源が入らなかったり、と実用品ではないただの置物状態な出品が多く、それでも結構な高価格で落札されてたりするので、ラジカセの実働品自体がめったにないのです。
入札、もちろんしました。
でも不思議と、僕以外の入札がなく、無事に落札。
即時発送で我が家に到着したパディスコ5280は、なんだか、もしかしてこのラジカセ、自分の元に来たがっていたのかなあ、なんてことも思ったくらい、青春時代を共にしたその佇まいは自然なフィット感がありました。
久しぶりにこれで、太田裕美、聴きました。
で、感動したのが、音がメチャクチャいい!!!!
何?なんなんだろうこの音の良さ!!
昔はこれが当たり前だったんだよね。
今のデジタルな響きに慣れすぎた耳には、四角い音の隙間に本来あった空気の音が、とても新鮮に感じられて、なんかこう、音量は小さくても腹の底にズズン、と感じる何かが、スピーカーから響いてきました。
デジタルのCDが出た当初は、クラシック評論家が『こんな音、とても聞けねえ!』と吠えてましたが、今にしてようくわかりました。
あ〜、昭和のメカは、凄い! ¥44800ーは伊達じゃあなかった。。。
目先のものに囚われているかのようなデジタルな響き、とは一線を画した、その芯の通った音の響き。
当時のエンジニアの本気モード、モノ作りの心意気を感じましたね。
やっぱり、昭和の人間のこだわりって、すごいわ、、、
〔日立パディスコ TRK-5280〕